美味しんぼの真偽検証

最近、美味しんぼを読み始めました。

この漫画にはメインキャラクターである山岡さんをはじめ、大量の食にまつわる「うんちくキャラクター」が出てきます。

彼らの喋る情報について「本当かよ」となる部分を重箱の隅をつつく感じで検証してみましょう。

そもそもカルシウムの味を人間が判断できるのか?

美味しんぼ一巻、第一話「豆腐と水」

三つの豆腐を食べ比べるエピソードです。

山岡さんは「鉱泉水のカルシウムの味」まで言及していたらしいです。

ここでの疑問。

「人間はカルシウムの味を判断できるのか?」というテーゼが真なのかどうかです。

調べると、ソースになるものが出てきました。

科学者は第6の味を発見したかもしれない

https://www.iflscience.com/scientists-may-have-discovered-a-sixth-taste-45360

この文献によれば、

「ハエにカルシウムの味の判別に関連する遺伝子があること」

ということが分かっています。

また「この遺伝子は人間を含む多くの動物に備わっている」ということです。

つまり、人間にはカルシウムの味が分かる可能性があるということです。

2018年の論文ですが、古い漫画のうんちくが、だいぶ後になって実証されるのはおもろいですね。

他にもマウスの実験で、カルシウムの味を判別している可能性があるとのことです。

「第六の味覚」論争に有力な手がかりを発見

https://medical-tribune.co.jp/kenko100/articles/190322529489/

この文献によれば

マウスの口内にはカルシウムに対する味覚受容体が存在し、舌にはカルシウムを味わう遺伝子が存在。

この遺伝子はヒトにもあることから、ヒトも「カルシウム味」を認識できるのではないかということです。

ということで

「人間はカルシウムの味を判断できるのか?」

というテーゼは真の可能性が高いと言えるでしょう。

豆腐の風味はすぐ落ちるのか?

「ワインと豆腐には旅をさせちゃいけない」

これは、山岡さんが品質の良い豆腐を二つ比べて、上野のものと、京都のものを比較したときの言葉です。

「風味が落ちている」という旨を付け加えていました。

質の高い豆腐でも、上野と京都から東京にもってこさせた豆腐では輸送途中で風味が劣化するということです。

豆腐というのはそれほど風味の劣化が早いモノなのでしょうか?

風味形成に関する論文を参照してみましょう。

「豆腐の風味形成に関与する香気成分」

https://www.jstage.jst.go.jp/article/nskkk1995/47/8/47_8_613/_pdf

豆腐は90%近くが水分であり微量な香気成分は水中に溶けている.

もうこの時点で大抵分かると思いますが、香気成分が水中に溶け、その水が流出すると香気成分が飛んでしまいます。

豆腐は、時間が経つと、じゃんじゃん水が出てきますね

よって、水分中に香気成分が入っているので、風味が抜けるのは早いでしょう。

また、

風味向上にはヘキサノール,マルトールの増加が要因であると考えられる.両化合物の匂いの質を見ると,ヘキサノールは軽い若葉臭,果実様の香りを示し,マルトールは甘いコゲ臭を示すことから,豆腐中に極めて微量存在することによって,豆腐風味の向上に寄与するものと思われる.

ということから、特にヘキサノールとマルトールが豆腐の風味向上に役立っている様子です。

このヘキサノールは、

ニオイの表現:「ややオイリーな葉的フルーティ香」「芝を刈ったばかりの時のニオイ」
水にわずかに溶ける
アルコールの一種である。

という特徴を持っています。

マルトール

甘い香りの原因の一つである。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9E%E3%83%AB%E3%83%88%E3%83%BC%E3%83%AB

という特徴があります。

また、溶解度が

水: 1.09E+004 mg/L (15℃)
であり、それなりに水に溶けます。

以上のことから、豆腐に含まれる香気成分は、風味向上に関する香気成分が水と一緒に流出しやすいものが含まれていると言うことができそうです。

よって、豆腐は、風味の劣化が早いモノという主張は、真であるとほぼ言い切って良いでしょう。

その他、この研究では豆腐に含まれる香気成分が以下のように含まれるとのことで、これらが水分中から抜けてしまうことは十分に考えられます。

・2-ペンタノン
天然ではタバコに含まれ、またアオカビ成長の際の代謝物質としてブルーチーズにも含まれる
・カプロン酸(ヘキサン酸)
化学式C5H11COOH。やや不快臭のある無色油状の液体で,沸点205℃。香料原料として用いられる。
水にわずかに溶け,エチルアルコール,エーテルに溶ける。
発酵もしくは化学合成によって得られるが,天然にもバターややし油の中にグリセリドとして存在する。
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
融点 −3 °C、沸点 205 °C の無色の液体。ヤギの体臭様のきわめて不快な臭いを有する。カプリ (capri) とはヤギ (Capra aegagrus) のことであり、ヤギの毛の油の分解物から得られたことによる。
・マルトール
麦芽コーヒーを製造するときに発生する薫煙凝縮物である。
カラメルに似た香気を有する白色結晶であり、93℃で昇華し、塩化鉄で紫色に呈色する。
食品香料として多量に使用され、最近はフルフラールを出発物質として工業的に製造されている。
チョコレート、パン、菓子、アイスクリーム、酒精飲料などにカラメル様フレーバーとして広く応用されている。
出典 小学館 日本大百科全書
・ヘキサナール
(英: Hexanal)は鎖状脂肪族アルデヒドの一種で、化学式C6H12Oで表される。
ヘキシルアルデヒドやカプロンアルデヒドとも呼ばれ、ダイズや草などの青臭さの原因物質である。
・1-ペンテン-3-オール
緑茶、後発酵茶、紅茶、グアバ、ほうじ茶、あんず等の食品中に存在が確認されて
いる。
・ペンタノール
一般に不快なにおい
出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
・2-ペンテン-1-オール
よく分からなかったが、魚や肉にも含まれる臭気のようだ。
・1-オクテン-3-オール
マツタケの香りに大きく寄与している成分であることからマツタケオール、マツタケアルコールの慣用名を持つ。
・2,4-デカジエナール
揚げ物油の臭い
・カプリル酸(オクタン酸)
天然にはココナッツや母乳などに含まれる。常温常圧においては、弱い不快な腐敗臭を持つ油状の液体である

まとめ

  • カルシウムの味を人間が判断することはできそう 山岡○
  • 豆腐の風味は落ちるのが早い 山岡○
読んでいただき、ありがとうございます。
内容が間違ってたら教えてください。

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